10月21日公開「線は、僕を描く」のメインキャストである、横浜流星さんと清原果耶さん、そして水墨画技術指導及び監修の小林東雲先生が映画の周知のために東京ガールズコレクション(TGC)に参加しましたね!
中央ステージに設営された立てられた大きな紙に、大きな大きな筆で東雲先生が松を描き、向かって左に横浜流星さんが竹を、向かって右に清原果耶さんが梅を描く趣向でした。
*TOKYO GIRLS COLLECTION YouTubeチャンネル参照
イベントを見て 感想
大きな会場で楽しめるように、大きなキャンバスに描く。
そのために大きな筆を使いたいが、墨が垂れる可能性が大きくなり、限られた時間内では修正作業は作れない。
そういった試行錯誤から「刷毛」で描く選択をされたのでしょう。
ペンキを塗るのも刷毛使いは難しいでしょう。
それが、水墨画となるとかなり難しいものです。
横浜流星さん
普通は、筆で「竹」を描くためには、薄い墨を筆に含ませて、先に濃い墨を少々つけ、筆を寝かせながら外側に濃い墨、中にかけては薄い墨のグラデーションで立体感を演出しながら、寝かせたまま上にスライドさせて描きます。
竹を「刷毛で描く」ということで、薄い墨を刷毛に染み込ませ、その両側に濃い墨を付けての「両隈(りょうぐま)」という技法がとられていたようです。*ひょっとしたら薄墨は省かれていたのかも・・・。
刷毛の動きが遅いと濃い墨が白い紙に滲み広がり「でっぷり」とした竹になってしまいます。
刷毛を押し付けすぎても、刷毛が広がって、やはり「でっぷり」します。
刷毛の動きが早すぎると、接地面の浅い部分が掠れ、綺麗なグラデーションが描けなくなります。
以上の視点で横浜流星さんの竹を見ると、いや〜すごいですね!
綺麗なグラデーションが描かれていたと思います。
横浜流星さんの「姿」のような「竹」が描かれていたと思いませんか?
だ・か・ら・「線は、僕を描く」なんです。
清原果耶さん
上の方の枝が、下枝よりも太くなってしまい、ご本人も気づかれていたようですね。
これは彼女が悪いわけではないと思います。
振袖をお召しになり、大きな紙に対して低い位置から彼女の肩の高さよりもさらに高い方向へと刷毛を走らせなければなりませんでした。
どうしても、そういった動きでは上に動かそうとした時に刷毛に過剰に負荷、つまり刷毛を紙に押し付けてしまいます。
しかも、彼女は「刷毛」のかど?端だけを使って描いていました。
それでいて、あれだけ描き抜いて、枝先を細く、しなやかに描くように努めたなら立派なことだと思います。
何よりも、常に東雲先生がお話しされているように「精一杯の線は美しいものです」ということでしたね。
着付けの時間に、着付けによる動きの制限を加味すれば、素晴らしい発表の席になったのではないでしょうか。
小林東雲先生
イベント終了後に倒れ込んでいたとか・・・。公式マスコットのペンぼくくんに癒されるとは、トホホ・・でした。
どデカい筆で濃墨をつけて松を描かれていました。
どんなにどデカい筆であっても技法としては「割筆」になるでしょう。
墨を含ませた筆を捻り込んで、筆先が割れるようにして描く技法になります。
主に、松の幹や、岩肌を演出する際に使います。
ゴツゴツ感、硬さ、などを強く印象付けたい時です。
東雲先生のすごいのは、上に下にと筆を動かし、松の幹を一旦描いた後にスッーと逆さ筆で濃墨の一線を書き足しています。
*逆さ筆は、普通筆は、筆先を引き抜くように使うものですが、筆の先に近い部分を紙に当てて、擦るように筆の先から中位部分へと擦り上げていく動きを言います。適切な解説用語でなかったらごめんなさい。
一瞬の出来事で、きっとほとんどの人が気付きません。
主に水辺の「葦(あし)」の葉を描くときに使う技法ですが、普通の筆でもシャープにはなかなか・・・難しくてベタッと崩れた楕円形に終わります。
だって、墨のついた筆の「腹」を使って線を描いていることになるのですよ!?
しかし、上手に入るとものすごくキレのある日本刀の刀傷のように印象的な線になります。
「あのどデカい筆でやるか!?」
と吹き出してしまいました。笑
あのデモンストレーションの最中の小林東雲先生の気迫ときたら、日本刀で斬り合いをやっているような殺気だったと思うので・・・あながち間違いでもないのですが・・・。
大きな道具を使用するイベント後は、東雲先生は道具もお風呂でバスタイムを満喫させてあげるとか。普通の流しでは洗えませんよね。
<水墨画家、小林東雲先生の印象>
女性が描いたのかと思うような妖艶なしなやかさを持つ線。
どんな怪力男が描いたのかと思うような無骨な荒々しい線。
相反するはずの、繊細と豪快な両方の線を巧に描くすごい人だという印象です。
水墨画というと「山水画」か「龍」という先入観をあっさりと壊して下さった「ジャンヌダルク」が私の心には印象的です。
「こんな絵も(水墨画って)描いて良いんだ。。。」(そう思い知らされました。)
東雲先生は、とある理由から「ジャンヌダルク」をあまり自慢しませんが・・・笑
これが手描きとは商売になりますね。
隣に停車したら見惚れますよ!
四君子とは?
中国では、
松:常に青々と輝く強さ美しさ
竹:強風でも、雪が積もっても、必ず再び天に向かって真っ直ぐに戻る強靭さとしなやかさ
梅:寒く、辛い雪が降っても、輝く美しい花を咲かせる姿
菊:寒く辛い季節にも花を咲かせ続ける健気さ
蘭:高地の、寒風吹きさらす、誰も見ていないところでも、一つの花を咲かせる強さ、美しい気高さ
上記を3つ、4つ、5つとセレクトして描くことを「三君子」「四君子」「五君子」と呼び、人間性として讃え、参考にする考え方が中国にはあります。
また、それらを描く際の技法には、水墨画の基本的な技法が多く取り入れられています
「線は、僕を描く」 senbokuキャスト
役柄 | 俳優名 |
青山 霜介 | 横浜 流星 |
篠田 千瑛 | 清原 果耶 |
篠田 湖山 | 三浦 友和 |
西濱 湖峯 | 江口 洋介 |
古前 巧 | 細田 圭央太 |
川岸 美嘉 | 河合 優実 |
藤堂 翠山 | 富田 靖子 |