「線は、僕を描く」は、2022年秋(10月21日)公開する日本初の水墨画を題材にした映画です。
主演は、武術家としても知られる横浜流星さん。
相手役として清原果耶さん。
映画「ちはやふる」の制作スタッフが再び集結して作り上げられた力作です。
映画を存分にお楽しみいただけるような情報を掲載していきたいと思います。
「線は、僕を描く」あらすじ その1
家族が原因の心の苦しみから自分の心の中に閉じこもる大学生の青山霜介が主人公です。
頼まれた手伝いで、たまたま水墨画のイベントに出向く。
そこで偶然に水墨画の大家(超有名なご老人、篠田湖山)と出会うのでした。
興味を抱いた湖山が、出展(展覧会というコンテストに絵を出場させること)していた1枚の薔薇の絵について感想を尋ねます。
霜介は絵について全く知らないのですが、正直に感想を老人に伝えます。
霜介の感想が実に本質をついていることに感心するとともにより青山への興味を強めた湖山は自宅に遊びに来るように誘います。
「私の家に遊びに来ないだろうか?」
が、その時はまだ水墨画の道に引き込もうという下心を湖山が持っているなど全く考えずに霜介は驚きつつも招待を受けるのです。
遊びに行き、湖山の指導のもと水墨画をやってみる霜介。
最初の画題は「蘭」です。
湖山の手本を見様見真似で描いてみるのですが、なかなか上手くいきません。
しかし、時を忘れるほど繰り返し睡蓮を描き続けるほど、霜介自身が気づかないところで水墨画の魅力に惹きつけられていくのでした。
2回目の訪問の際、霜介は初めて展覧会で薔薇を出展していた若い女性に出会います。
若い女性は、湖山の孫娘である千瑛(ちあき)です。
千瑛は、弟子を取らないと言っていた祖父が霜介を弟子にしたことが不愉快です。
そんなことを知らない霜介に湖山は水墨画の基本を教えます。
水墨画は「空間の美」と言えます。描かないことで表現する。また、白黒のモノトーンなのに「観ている人」には色が見えるところが世にも不思議なアートペインティングだと思います。なぜ色が見えるのか?それは、観ている人の感性であり、その人の生きていた背景のフィルターを通してこそ為せることだと思います。
何度か湖山の家を訪れるうちに青山もなんとか千瑛に話しかけることができるようになった。
そんなある日、霜介は千秋に一つのお願いをする。
「大学の学園祭で千瑛さんの絵を飾らせて欲しい。」
ところが、そんな話を耳にした湖山によってなんと霜介も千瑛と一緒に絵を出展することになったのである。
画題、つまりお題であり絵のテーマも用意する周到ぶりであった。
画題「(春)蘭」
千瑛も学園祭のお願いを引き受けてくれた。
その上、新たな提案も用意してくれた上でのことだった。
その日、霜介は初めて自宅で水墨画を描くための準備をした。
そして、いつものように時間を忘れて蘭を描き続けたのだった。
千瑛の提案とは「水墨画の実演会」だった。
「水墨画の実演会」とはライブ・デモンストレーションのこと。最高難易度がタテに据えられている大きな紙に書くもの。しかし、机の上で描くとしても水墨画は計画通りにはいきません。なぜでしょうか?それは、墨の濃度、筆に含まれる墨の量、筆圧などを毎回同じにするのは不可能だからです。微妙な違いが積み重なって作品は同じ欄を描いても毎回違うものに仕上がります。また、明らかに飛沫が飛んだ、予想外のところに墨が垂れてしまった、など起きることです。そんな時に「落ち込む」のではなく、その起きてしまった「結果」を次のステップの、発想力のきっかけにできると水墨画の世界観が一気に広がるものです。
美人の千瑛を見に集まった男女でしたが、その空気が一瞬で変わってしまいます。
千瑛の水墨画に対する真摯な姿勢からくる凛とした美しさ。
何よりもその筆から生まれた、今まで知ってはいたけれど身近になかった水墨画の魅力に観衆は見事なまでに引き込まれたのです。
霜介だけが良かったわけではなかった。
学園祭に参加し、霜介の湖山仕込みの墨で水墨画を描いたことで千瑛にも素晴らしい気付きがあったからである。
二人の距離が少しずつ近づいていた。
湖山の留守により千瑛と霜介の二人で水墨画の練習をすることになった。
この2ヶ月における霜介の成長を見せてほしいと千瑛は課題に霜介が初めて湖山の家に訪れた際に練習した蘭を描かせるのだった。
千瑛は「絵は上手になっている。しかし、あなたの線はなぜかとても悲しく見える。」と表現するのだった。
千瑛は霜介を心配した。
そんな千瑛の気持ちを汲んで霜介は初めて自分のことを口にするのだった。
ぜひ本を読みたい!と思った方はご活用ください!
水墨画に必要な道具たち
絶対に必要な道具
- 画仙紙(書道の紙よりも厚い。練習用の安いものは50円程度。展覧会用などは2〜3倍高い)
- 墨
- 硯
- 水
- 小皿
- 筆洗い用の器
- 筆 (大・中・小) 各1
- 下敷き(羊毛が良いが小さいデスクサイズなら百均のフェルト風マットでも可)
- 雑巾(筆の不要な水気を除きます)
画仙紙 | 硯(すずり) |
墨 | 調墨皿 |
筆 | 筆洗い用器 |
下敷き | 雑巾 |
オプションの道具たち
- 霧吹き
- 平刷毛 (大・中・小)
- 大きめの平皿風容器
- 落款
- 細・極細の筆
書道の道具は使えないの?
上記に書いたものの中では、筆を除けばほぼ使えます。
筆も使えなくは無いのですが、難しいスタートになるでしょう。
書道の筆は、将来上達した際の小道具に残すことをお薦めします。
水墨画の筆は、書道の筆よりも毛の長さが短いものと思ってよろしいでしょう。書道は、墨の濃度を替えることがあまりなく、また一気に連続して描き切ることを前提にして毛に含む墨の量を大量に保てるように設計されています。
墨汁ではできません!
時々、墨をするのは大変だから墨汁でできないだろうかと質問される人を聞きます。
墨汁は、完全なる液体であり、粒子が無いと言いたいほど微粒子です。
そのために紙に墨汁が染みた際に美しいグラデーションにはならず、淡色の単色に仕上がります。
公式メイキング映像(公式サイトより)
「線は、僕を描く」 キャスト
役柄 | 俳優名 |
青山 霜介 | 横浜 流星 |
篠田 千瑛 | 清原 果耶 |
篠田 湖山 | 三浦 友和 |
西濱 湖峯 | 江口 洋介 |
古前 巧 | 細田 圭央太 |
川岸 美嘉 | 河合 優実 |
藤堂 翠山 | 富田 靖子 |