渋沢栄一は、「改正掛」を立ち上げわずか2年程度で大いに国に役立ちました。
大久保利通の反感を買うほどに、旧幕臣は大いにその能力を画期していたのです。
その逆に、薩長の権力争いから薩摩藩では東京に来ない者がまだいました。
新政府としては、まとまりの悪さを直せるのは西郷隆盛しかいないと帰郷してしまった西郷へ再び強く出仕を求めたのでした。
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青天を衝け 第30話「渋沢栄一の父」 あらすじ
要請に応じて東京には出てきた西郷隆盛と栄一は再会しました。
栄一は、新政府に仕えてからの落胆を率直に伝え、是非とも西郷に新政府を一つにまとめて欲しいと懇願しました。
栄一は、父の言葉を思い出すのでした。
「どんな者でも上に立つものには下に立つものへの責任がある。」
そして「責任とは、大事な者を守る務めである。」
この期に及んで栄一は、深く賛同するのでした。
「その通り。下のものが頑張っても上がバラバラでは国は守れない。」
強く状況を憂うのでした。
いつも通り、血洗島では「お蚕様」のためにみんな仕事に励んでいました。
栄一の気持ちはわかりませんが、市右衛門も健やかに過ごしていました。
渋沢栄一は、新しく流通させる貨幣の件で大阪造幣局に出かけていました。
そこで栄一は、因縁の五代才助と鉢合わせしました。
やっと会えたと喜ぶ五代とは違い、栄一はムカムカしてきました。
三井の三野村喜左衛門の用意した宴席で、五代は栄一に声をかけて二人で国について話をしました。
敵視していた五代の口から「国が変わっても商人が財布を担うのではダメだ。一部の者が豊かになるのではなく、金はもっと広く行き届かねばならないんだ。」と聞きました。
元幕臣としての怒りよりも幼き頃より父に教えられていたみんなを喜ばせる商いの気持ちが高まっていくのでした。
西郷が東京に戻って3ヶ月が過ぎたが、新政府は一向にまとまる様子を見せませんでした。
見かねた西郷は、態度で「廃藩置県」を行うべきと周囲へ印象付けました。
その意向を理解した井上は「廃藩置県」に向けて直ぐに動くと慌てました。
しかし、それを強く制したのが渋沢栄一でした。
藩札と太政鑑札との価値の差、各藩の持つ借金など多くのことを調べ、精査して、移行手順を決めないと暴動になると考えたからでした。
決して井上は頭が悪かったわけではありません。
納得すると「廃藩置県」に対する対処を内密に改正掛で行うことを指示したのでした。
「廃藩置県」とは、幕末から居座る藩主を追い出して、国が直接税を取り立てるものでした。
これは新政府の悲願でした。
とんでもないことになったのは、栄一たち改正掛でした。
何百年と続いた制度をひっくり返すのですから、新制度の情報が漏れればどんな反対に合うかはわかりませんでした。
そこで、ごく一部の者たちにより、ごく僅かな時間で布告まで辿り着かなければならなかったのでした。
井上が会議により持ち帰った猶予は、栄一にとって「4日間」でした。
絶望的な状況を楽しめる、それが平岡円四郎が選んだ男渋沢栄一でした。
「廃藩置県」ができなければきっと再び戦が起こる、そういう状況にしないためには自分が廃藩置県を達成しなければと考えたのでした。
結局、戦になれば辛い思いをするのは民でした。
そして、逆に廃藩置県を達成できれば「新政府の基礎」がそこに誕生する充実感を思い描いたのでした。
改正掛は、四日間を不眠不休で働き通し、全ての藩の借財と藩札の価値を洗い出し、どのくらい保障するべきかなどの数字を洗い出したのでした。
明治四年七月十四日 廃藩置県 布告
全国に260あった藩は廃止されました。
海外にも「廃藩置県」は世界に類を見ない「無血革命」と衝撃を与えることとなったのでした。
活躍が認められて渋沢栄一は「大蔵大氶」に出世しました。
ある日、突然大久保利通が改正掛にやってきて多額の金を陸軍と海軍に対し「軍費」として用意しろと行ってきました。
国に大きな負担となると考えた栄一は、時期を考えた方が良いと進言しました。
しかし、権威性を持って政をしたい大久保は、栄一の素直に従わない姿勢に激怒し改正掛自体を解散させてしまいました。
大久保は、言葉だけではありませんでした。
大隈に意見できないところがあるのは自分が異国を知らないからだと「岩倉使節団」を結成してアメリカ・コーロッパに向けて出発したのでした。
色々ある中で、なんとか新政府で働いていた栄一でした。
そんなある夜、栄一の元に父市右衛門の危篤が知らされました。
急いで血洗島に駆けつけた栄一に、市右衛門の命を受けた家族は勢揃いで栄一を迎えたのでした。
そんな父親の気持ちが胸に刺さる栄一でした。
市右衛門は、なんとか一命を取り留めていました。
親孝行がしたい、長生きして欲しいと強く願う栄一でした。
市右衛門は答えます。
「もういいんだよ。俺は渋沢栄一の父親になれた。誇りに思っているよ。」
「ありがとう。」
二日後、市郎右衛門は息を引き取りました。
栄一は、市右衛門の記載した帳簿を見ながら、父の生き様を回想しました。
「なんと美しい生き方だ。」
青天を衝け 第30話「渋沢栄一の父」 感想
血洗島の場面、特に栄一の生家では綺麗な藍染がドラマに映ります。
市右衛門の葬儀の際にも、やはり「美しいなぁ〜」と。
そして、ドラマの市右衛門の生き方の「美しさ」を象徴する存在に藍染の美しさが重なる思いでした。
また、商いの帳簿を見て「生き方」が手にとるようにわかる、そこに栄一の持つ類まれな力が渋沢家によって育てられたことがよくわかるシーンだと思いました。
さすがに大久保利通が可哀想!
完全にヒール役になっているのが大久保利通ですね。
この「青天を衝け」、出演させるさせないもそうですが、演出が極端ではないでしょうか?
気の毒になってきます。
大久保家の御子孫が気の毒になります。
その辺りの配慮をドラマ制作に活かしてほしいですね。
大久保利通は、イギリスで学んだ伊藤博文とは違い、書物による学習で一説にはドイツの政治を真似ていたのではと言われています。
いずれにしても、思想が違っていることはあったのでしょう。
独裁の部分もあったのでしょう。
しかし、私欲は全くなく、暗殺により死んだ際には財産百数十円に対して借金は1万円弱あったと言われています。
その借金の理由が、必要なのに国では予算が立てられない事業に対して私費を投じたことによるものだったそうです。
その証拠に、貸主たちが遺族への取り立てを放棄したと言われています。
また、政府も残された遺族が露頭に迷ってしまうことから、1万数千円を用意して渡しているそうです。
威圧感がすごかった人だったと記録に残っています。
意見できる人がいなかったのも事実でしょう。
このブログでは、少し擁護してみました。
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栄一の父市右衛門さんが死んでしまいました。先に書いているように小林薫さんの演技好きなんです。残念です。侍だけが美しい生き様ではなかったこと。百姓でもブレない思いがあれば、結果としてその生き様は美しいものになることを教えてくれました。
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2021年 NHK大河ドラマ「青天を衝け」キャスト
主要キャスト
配役 | |
渋沢 栄一 | 吉沢 亮 |
澁澤 喜作 | 高良 健吾 |
尾高新五郎(幼少期の栄一の先生、従兄弟) | 田辺 誠一 |
美賀君 | 川栄 李奈 |
徳川 慶喜 | 草彅 剛 |
徳川 家康 | 北大路 欣也 |
小栗 忠順 | 武田 真治 |
尾高 平九郎 | 岡田 健史 |
天璋院 | 上白石 萌音 |
井上聞多(馨) | 福士 誠治 |
渋沢 ゑい | 和久井 映見 |
伊藤 俊輔 | 山崎 育三郎 |
大久保 利通 | 石丸 幹二 |
渋沢市郎右衛門 | 小林 薫 |
尾高 千代 | 橋本 愛 |
貞芳院 | 原 日出子 |
(平岡円四郎の妻)やす | 木村 佳乃 |
西郷 吉之助 | 博多 華丸 |
板倉 勝静 | 永井 秀樹 |
岩倉 具視 | 山内 圭哉 |
杉浦 愛蔵 | 志尊 淳 |
徳川 昭武 | 板垣 李光人 |
五代 友厚 | ディーン・フジオカ |
大久保 一翁 | 木場 勝己 |
大隈 重信 | 大倉 孝二 |
三野村利左衛門 | イッセー尾形 |
徳信院 | 三村 里江 |
三条 実美 | 金井 勇太 |
大隈 綾子 | 朝倉 あき |
萩原四郎兵衛 | 田中 要次 |
大隈 重信 | 大倉 孝二 |
制作キャスト
作 | 大森 美香 |
音楽 | 佐藤 直紀 |
テーマ音楽演奏 | NHK交響楽団 |
語り | 守本 奈実(アナウンサー) |
演出 | 黒崎 博 |
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