お千代の死から3ヶ月が過ぎましたが、栄一の顔色は一向に冴えませんでした。
グラント氏来日の際に一緒に頑張った婦人会の奥方たちもお千代の死を惜しみ続けていました。
渋沢栄一を「日本経済の要」と見ている井上馨は、新しい妻を娶った方が安心だと考えました。
そのくらい、栄一は、既に日本経済の中心となっていました。
栄一は、静岡に慶喜公を尋ねました。
慶喜、そして２度目の留学から帰国したばかりの弟である昭武も栄一の身を案じていました。
それほどに栄一の目が乾くことは、側から見てもないほど深い悲しみに包まれていました。
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青天を衝け 第３７話「栄一、あがく」 あらすじ
政府の後押しにより、栄一たちは、三菱に対抗する海運会社「共同運輸会社」を設立しました。
キャッチコピーは「三菱から海運の自由を取り戻せ！」
大隈重信や岩崎弥太郎は、なんとか栄一たちを妨害しようとしましたが、世論は栄一たちの味方でした。
弥太郎も半端な男ではありませんでした。
全面戦争突入でした。
特に横浜ー神戸間の航路は、客の奪い合いとなりました。
相手よりも少しでも安くとどんどん値が下がっていきました。
また、三井と政府の船会社が三菱に負けたのは、客引きができなかったこと、客対応が至らなかったことと考え、共同運輸会社では改善に次ぐ改善で迎え撃ったのでした。
海運競争の最中、栄一の後添え話も続けられていました。
皆が心配していたのでしょう。
白羽の矢は、伊藤兼子に向けられました。
兼子は、数年前に没落した豪商の娘でした。教養もあり、家柄としても確かなものでした。
栄一は、伊藤兼子を後妻に迎えました。
しかし、栄一の心はお千代を忘れられず、兼子を篤二ら子の面倒見と社交的な面からの必要性で迎え入れた状態でした。
数ヶ月後、歌は男の子を出産しました。
栄一は、真っ先に「お千代に見せたかった。」と涙にくれてしまいました。
お千代の死からまったく立ち直っていない栄一に、さらなる追い討ちが起きました。
お千代が率先して手伝った養育院の廃止が提案されました。
多額の税金が必要な上に、府議は「貧民などどうなろうと知ったことか。」という考えでした。
栄一にとって養育院を失うことは、お千代の２度目の死を体験するような受け入れ難いことでした。
政治の世界では、また一人幕末の風雲児がこの世を去りました。
岩倉具視、天皇による国家を熱望し、その情熱をお上のために捧げました。
共同と三菱の海運戦争は激しさを増すばかりでした。
とことんの値下げ競争でした。
仲裁に五代友厚が立ちました。
損失しか産んでいないことを危惧したからでした。
実は、弥太郎は裏工作も仕掛けていました。
栄一の「合本」を逆手に取り、共同運輸の株を株主から密かに買い集めていたのでした。
五代は栄一を諭します。
「不毛の争いでしかなく、例え共同が買っても、それは第二の三菱の始まりではないのか？」と。
栄一は真っ向反発しました。
「独裁」対「合本」の戦いだ！
栄一の決意は誰の言葉にも耳を貸すことはありませんでした。
栄一が伊藤と面会した際のことでした。
怒りの赴くままに、政府の中心となった伊藤博文のもとでも栄一は岩崎弥太郎を罵る言葉を浴びせ続けました。
伊藤が穏やかに話しました。
「自分を正しいというのはかまわない。しかし、相手を非難して貶めるような真似こそ卑怯ではないですか。」
栄一は言葉を失いました。
伊藤博文は、話を続けました。
「渋沢君と私の違いは、私は自分を正しい人間と思っていない。岩倉具視さんを裏から突いて、大隈さんを外した。しかし、渋沢君は、自分が正しいと思っている。だからそこを踏み外してはいけないのではないかな。みんな急ぎ過ぎていないか？私は一年半もかけて法律を調べ、改正に向けて準備しているんだよ。」
「日本独自の法律を作り、次は議会を作り、そして民意を取り入れたいんだよ。これからが本当の日本のスタートだよ！」初めて聞く伊藤の夢は壮大でした。
海運戦争の最中のことでした。
岩崎弥太郎が、その生涯の最後を迎えました。
また、五代友厚も死が迫っていました。
最後の日本国のためにと栄一たち共同と三菱の双方を呼びました。
双方資金的にも限界でした。
両者は、和解し、合併の道を選びました。
「天地にはじる生き方はしていない。ただ、もっと商いによる日本の変身ぶりをもっと見たかったね。」
「渋沢君、あとは頼んだよ。」
友厚の最後の言葉でした。
その年の秋、五代友厚 永眠
ある朝、栄一は兼子と向き合っていました。
兼子からの離縁の申し出を聞いていました。
兼子の言い分としては、栄一の心には自分がいない。
情がなければ妻にもなれないし、子もできない。私たちの心を見透かした子供たちも懐かない。
栄一は、そんな兼子の心に触れて素直に謝罪しました。
改めて、夫婦として共に過ごし、家族を守ってほしいと願うのでした。
兼子もそんな誠実な栄一の心に触れ、いつまでも共にやっていくことを誓うのでした。
廃止の危機にあった養育院は、栄一と兼子とで経営していくことになりました。
政府高官の夫人たちがバザーを行ったという兼子の言葉に栄一は飛びつきました。
栄一たちも「バザー」にチャレンジすることにしました。
明治十八年十二月二十二日
日本初の内閣制度 発足
内閣総理大臣 伊藤博文 誕生
３年後には、
大日本建国憲法 施行
伊藤博文さんですねー 伊藤博文というと個人的な記憶になりますが、私のご先祖さまに「帰ったら爵位を付与するから」と言って韓国で亡くなったそうです。爵位をもらった方が私の家にとって良かったのか、人間万事塞翁が馬ですね。そのような関係があったのも「法律」の件があったからだと初めて腑に落ちました。
大河ドラマには、多くの気づきがあります！
青天を衝け 第３７話「栄一、あがく」 感想
どんな本を読んでも共通していることですが、岩崎弥太郎と渋沢栄一の海運戦争は凄まじかったようですね。
共に当時ではかなりの大資本を持つ会社同士だったはずですが、和解した頃には双方が風前の灯だったことが後に明かされています。
「独裁」対「合本」と言いますし、これは「利己」対「利他」の精神的な対立にもなっていた様子。
ここで感じることは、渋沢栄一「論語と算盤」なので「論語」、つまり中国古典に強そうですが「孫子」のような兵法の知恵は流れていなかったように感じます。
ビールの帝王だったキリンに対して、アサヒが取った「スーパードライ」徹底戦略。
これは、孫子の兵法について解説の専門家である守屋淳先生が例えで使われている題材です。
巨大勢力に対する新興勢力の戦い方がいくつも参考例として登場するのが「孫子の兵法」です。
言い換えれば「義」を重んじすぎると、考え方が硬くなるので注意すること、と大河ドラマの「独眼竜政宗」の伊達政宗は番組中で言ってましたね。笑
栄一と弱者救済と学校教育
大蔵省を退官してからは、養育院や多くの学校といった教育現場に携わり、金銭的にも寄付しているそうです。
国を豊かにするには、民の教育と弱者への救済は必須と確信していたのですね。
あなたの卒業した学校にも、じつは渋沢イズムが入っているかもしれませんよ！
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私の拙いあらすじまとめでは、多くの心配りあふれた役者さんの演技は到底想像できません。将軍家茂が征夷大将軍を慶喜に譲ると決心する際の心情を表現するのは難しかったことでしょう。ぜひ、あなたも見逃した大河ドラマ「青天を衝け」をご自身の目でご覧ください！
２０２１年 NHK大河ドラマ「青天を衝け」キャスト
主要キャスト
| 配役 | |
| 渋沢 栄一 | 吉沢 亮 |
| 澁澤 喜作 | 高良 健吾 |
| 尾高 惇忠 | 田辺 誠一 |
| 徳川 美賀子 | 川栄 李奈 |
| 徳川 慶喜 | 草彅 剛 |
| 徳川 家康 | 北大路 欣也 |
| 小栗 忠順 | 武田 真治 |
| 尾高 平九郎 | 岡田 健史 |
| 天璋院 | 上白石 萌音 |
| 井上 馨 | 福士 誠治 |
| 渋沢 ゑい | 和久井 映見 |
| 伊藤 俊輔 | 山崎 育三郎 |
| 大久保 利通 | 石丸 幹二 |
| 渋沢市郎右衛門 | 小林 薫 |
| 尾高 千代 | 橋本 愛 |
| 佐々木勇之助 | 長村 航希 |
| （平岡円四郎の妻）やす | 木村 佳乃 |
| 明治天皇 | 犬飼 直紀 |
| 板倉 勝静 | 永井 秀樹 |
| 岩倉 具視 | 山内 圭哉 |
| 杉浦 愛蔵 | 志尊 淳 |
| 徳川 昭武 | 板垣 李光人 |
| 五代 友厚 | ディーン・フジオカ |
| 大久保 一翁 | 木場 勝己 |
| 大隈 重信 | 大倉 孝二 |
| 三野村利左衛門 | イッセー尾形 |
| 徳信院 | 三村 里江 |
| 三条 実美 | 金井 勇太 |
| 大隈 綾子 | 朝倉 あき |
| 萩原四郎兵衛 | 田中 要次 |
| 大隈 重信 | 大倉 孝二 |
| 渋沢 よし | 成海 璃子 |
| 渋沢 てい | 藤野 涼子 |
| 大内 くに | 仁村 紗和 |
| 江藤 新平 | 増田 修一郎 |
| 小野善右衛門 | 小倉 久寛 |
| 岩崎 弥太郎 | 中村 芝翫 |
| 井上 武子 | 愛希 れいか |
| 益田 栄子 | 呉城 久美 |
| 大倉 徳子 | 菅野 莉央 |
| 井上 未子 | 駒井 蓮 |
| 大倉喜八郎 | 岡部 たかし |
| 益田 孝 | 安井 順平 |
| 岩崎 弥之助 | 忍成 修吾 |
| 伊藤 兼子 | 大島 優子 |
| 渋沢 うた | 小野 莉奈 |
制作キャスト
| 作 | 大森 美香 |
| 音楽 | 佐藤 直紀 |
| テーマ音楽演奏 | NHK交響楽団 |
| 語り | 守本 奈実（アナウンサー） |
| 演出 | 鈴木 航 |
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