2021 見逃し大河ドラマ【青天を衝け】 第3話「栄一、仕事はじめ」 

青天を衝け
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第3話からは「子供の(親の)真似事」としての仕事から「(後継としての)真剣な仕事」として栄一が体験する日々が描かれます。

これは、同時に渋沢栄一という人間が、どんな苦労があっても常に「人のためにどう行動するか」を鍛錬される時間でもあったと思われます。

【藍 すくも作り】藍染に欠かせない「蒅(すくも)作り」の「蒅(すくも)」とは、藍染の染め料の元となる食物染料の一つです。藍の葉を発酵、熟成させて堆肥状にしたものです。藍は水に溶けない性質なので発酵させることで水に溶けやすくするのです。渋沢栄一の幼少の時代は、持ち運びやすくするために堆肥状のすくもを丸く固めて「藍玉(もしくは玉藍)」として流通させていました。
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第3話「栄一、仕事はじめ」 あらすじ

スタートは「藍の蒅(すくも)作り」で賑わう村の様子からです。

  1. 藍の葉を乾燥させる
  2. 乾燥した藍の葉に水を打ちながら混ぜ、発酵させる工程を何度も繰り返す
  3. 発酵を始めて100日、蒅(すくも)が出来上がる

その年最初の藍染と出会った瞬間、栄一の顔が輝くのでした。

その美しく青く染められた布が「長く」発色することで品質の良さは決まりました。

「武州で作る藍を阿波の藍に負けないようにしたい」それが栄一の父市郎右衛門の願いでした。

 

武州とは、現在の東京や埼玉県のほとんどの地域を言います。また、阿波の藍とは、現在の徳島県、あの阿波踊りで有名な「阿波」を指します。その藍染の美しさから現在でも特産品として受け継がれています。
この頃の渋沢栄一は、父市郎右衛門に商いの手ほどきとして始めて江戸に連れて行ってもらえることになっていました。
そんなことからも気持ちの充実した日々を送っているのでした。
アメリカの黒船、ペリーが初めて日本に近づいたのも同じ頃です。
時を同じくして清国で起きた「アヘン戦争」による大量虐殺を伝える本が、日本各地に衝撃を与えている最中のことでした。
皆が国を憂い、より多くを学ぼうとします。
武州では、尾高惇忠の妹千代が兄である惇忠に論語を質問します。
兄は女子が学問に精を出す必要はないだろうと一旦は嗜めるます。
しかし、千代の「女子とて人ではありませんか。人である以上物事の理を知っておきたいと思うことは間違いではないと思うのです。」という言葉に心動かされて疑問に答えてやるのでした。
さらに「これからはわからないことがあったら尋ねなさい」と付け加えられました。
おおおー、父を手伝ってよかった!
ご褒美ですね。
渋沢栄一、初めての江戸!
当時でも100万人近い人口を有していた江戸に栄一は「今日は祭りか!?」と目をまん丸くするのでした。
「江戸は商いでできている!」
「商いは、みんなを繋げている!」
栄一は感動します。
渋沢栄一が、商売の秘めた素晴らしい「力」を心底感じた初めての時間だったと思われます。
栄一が江戸から戻って3ヶ月が過ぎた頃でした。
浦賀に黒船がやってきました。
第12代将軍 徳川家慶が亡くなりました。
亡くなる前に世の乱れを水戸の斉昭に相談するよう慶喜に言い残すのでした。
次期将軍候補の徳川家祥を中心に黒船への対応を協議します。
多くの大名たちに意見を求めもしました。
驚きの幕府の変化だったようです。
かつてはこのような「協議」はありませんでした。
斉昭の謹慎も解き「海防参与」という役職を与えました。
併せて蟄居させられていた藤田東湖も自由のみとなり斉彬と共に復帰を果たし他のでした。
異国に対する警戒の流れは、栄一のいる武蔵国にも影響を与えます。
罪人として拘束されていた砲術家である高島秋帆(たかしましゅうはん)が放免されたのです。
そして、高島は栄一に「日の本のために身を粉にして努めること」の重要性を熱く語ります。
波乱は、波乱を呼びました。
順調に生育していた市郎右衛門の藍畑が虫に襲われて壊滅的な被害を受けてしまいました。
不足分を信州や上州に行き買い付けることを決断する市郎右衛門。
何とか共に出かけて父を助けたいと思う栄一ですが、市郎右衛門は一人前と認められない栄一の助けを断りました。
藍葉の買い付けは、良い相葉を買えなければ意味がありません。
目利きが必要だったのです。。。
心穏やかでいられない栄一は母ゑいに信州への買い付けを直訴しました。
熟慮した母ゑいは、自分の心の声にしたがって栄一にチャンスを与えました。
チャンスをもらった栄一は、父を助けたい一心で頑張りました。
はじめは若造の買い付けと馬鹿にしていた信州の藍畑の農民たちでした。
しかし、栄一の藍葉に対する知識に一目置くように変化して行ったのでした。。
何よりもその買い付け方に農民は心を打たれました。
質の良い藍は、その品質に見合った高額で買い取ります。
しかし、父市郎右衛門の手がける藍としては扱えない藍葉にも相応の金額で買取を申し出ました。
相応の金額とは、質の悪かった原因である高価な肥料の不足が起きないように、来年の藍葉への先行投資として値段を付けて農民を助けたのでした。
「損して得取れ」の精神と今ならいうのでしょうね。
そんな気配りを見せる買い方に加え、横柄な態度ではなく「来年も自分に売ってくれるかな?」とお願いし、約束を交わせることに感謝を示したのでした。
農家、商人、顧客の全てが嬉しい「三方良し」の精神を自然と身につけていった渋沢栄一の凄さが垣間見れたシーンになっています。
栄一の家に信州からの買い付けた藍葉が届きます。
父市郎右衛門の検品に緊張する栄一と母ゑい。
値段については苦言を呈するも「良くやった」と意外にも市郎右衛門は初めて栄一を褒めたのでした。
いや、栄一にとって一番嬉しい言葉は、残された藍畑への買い付けに「一緒に行くんだろ?」と声をかけられたことでした。
父に褒められたことも喜びですが、栄一にはわかっているのでした。
「商いは人を繋げ、繋がった人を喜ばせることができること」を。
蒅(すくも)を水に溶かし絹を染める様子イメージ写真
藍染染色釜

第3話「栄一、仕事はじめ」 感想

父の背中におぶられて、仕事をのぞいていた幼児がいました。
成長して、いよいよ自力で「商いの世界」をヨチヨチではあるけれど、自分の足で立って進むようになりました。
そんな一人の人間の成長を印象付けた第3話でした。
害虫で自分の家の藍葉が損害を受けた際、その損害を穴埋めする買い付けに幼少からの父母の教えが活かされます。
自分の困ったを解消するだけの買い付けではなく「どう買い付けることが売り手である農民の役に立つ買い方なのか。」、相手を幸せにする行動を心がけ実行したのでした。
そんな他利の精神による栄一の歩みが本格的に開始されたのです。

女性の学び

江戸末期まで女性が学問をすることは、あまり浸透していませんでした。
しかし、私が思うところでが「学識のある女性により日本が救われた」と感じている例があります。
それは、吉田茂の乳母の存在です。
吉田茂の乳母は、幕末の超一流の儒学者であった斎藤一斎の娘です。
斎藤一斎は、幕末の江戸において最も人気のあった漢学塾の1つを営んでいました。
吉田松陰の師である佐久間象山や私が最も尊敬する怪物「備中聖人」山田方谷の師でもあります。
偉大な父から世の理を学んだ女性が、のちの総理大臣となる吉田茂にどれだけ多くの影響を与えたことでしょう。
数値化することはできませんが、少ないはずがないと思っています。

論語 こばなし

今回登場した論語は、
子曰く、君子は言に訥(とつ)にして
行いに敏ならんことを欲す

曰く(いわく)と曰く(のたまわく)

ところで
「曰く」は、「いわく」と「のたまわく」の2つの読み方がありますが、どちらが正しいのでしょう?
これにも意味があって
師である孔子が直接弟子たちに語った言葉が「いわく」。
「師である孔子はこう弟子たちに話されたそうですよ」という意味を持つ「師(孔子)から弟子が聞いたお話を次の世代に話した言葉の数々」という言葉には「のたまわく」が使われています。

登場が多い漢字「訥」

今回は、論語として登場した「訥」です。

無口というか、無駄口を叩かない、寡黙を表現する感じですね。

私の印象深い登場は、

剛毅木訥仁に近し」です。

木訥とは「何かあるごとに口を開くのではなく、木のように豪雨や強風などにさらされてもジッと動じないような様」は大人、深い愛情を持つ立派な人であるとの例えですね。

*若干、普及している解釈と違うと思います。それは「仁」にかかる「毅」の理解の違いから来ると考えています。

口数が多いと比例して失言も増えることから戒めているのでしょう。

 

また、古典では「寛容な人」を大人(たいじん)として尊敬します。

ベラベラと話すのではなく、相手の話に耳を傾け相手を「受け入れる」心の広さの重要さを諭す逆説的表現かとも感じています。

 

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2021年 NHK大河ドラマ「青天を衝け」キャスト

主要キャスト

配役
渋沢 栄一 吉沢 亮
澁澤 喜作 高良 健吾
尾高新五郎(幼少期の栄一の先生、従兄弟) 田辺 誠一
阿部 正弘(幕府老中首座) 大谷 亮平
徳川 慶喜 草彅 剛
徳川 家康 北大路 欣也
徳川 斉彬 竹中 直人
徳川 家慶 吉 幾三
藤田 東湖 渡辺いっけい
渋沢 宗介 平泉 成
渋沢 ゑい 和久井 映見
高島 秋帆 玉木 宏
平岡 円四郎 堤 真一
渋沢市郎右衛門 小林 薫

制作キャスト

大森 美香
音楽 佐藤 直紀
テーマ音楽演奏 NHK交響楽団
語り 守本 奈実(アナウンサー)
演出 黒崎 博

 

 

この記事の情報は2022年7月26日に確認したものです。価格やサービスは変更があります。ご利用前には必ずご利用サービスの最新情報をご確認下さい。
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プロフィール
この記事を書いた人

好きな中国古典は菜根譚で車中でも音声CDで聴く。NHKの大河ドラマには「晴天を衝け」渋沢栄一の論語や「武田信玄」「黒田官兵衛」他複数で孫子が役立っている。人生やビジネスに行き詰まった時に大河ドラマをイッキ見して頭をリセット。スマホやPCで場所を選ばずイッキ見する方法もご紹介。「あなたの心を豊かに」をお手伝い!

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